スキンケア
洗顔後や入浴後に、肌のつっぱりやカサつきが気になりませんか? 白い粉をふいたように乾燥して、かゆみがある方もいらっしゃるかもしれません。いずれも肌が乾燥しているサインなので、早めのケアが必要です。
健康な肌は、肌内部に十分な量の水分を蓄えてくれる「バリア機能」が正常に働いています。しかし、何らかの原因でバリア機能の働きが弱くなってしまうと、肌内部に水分を抱えておくことができなくなって肌が乾燥してしまいます。
乾燥肌は、化粧水をつけるだけではケアできません。乾燥肌をケアするために大切なことは、失われた水分や皮脂を補いながら肌のバリア機能を整えることです。乾燥肌の原因と正しいスキンケアの方法を知って、確かなうるおいケアを目指しましょう。
目次
乾燥肌とは、水分と皮脂が不足してうるおいがなくなっている肌の状態を指します。乾燥肌は肌表面のつややみずみずしさがなく、乾燥が進むと粉がふいたような状態になります。ゴワつきやカサつきを感じ、キメが乱れてファンデーションのノリが悪くなる、洗顔後の肌がつっぱるといった形で乾燥肌に気づくことが多いでしょう。こうした肌の乾燥には、「バリア機能」が関係しています。
肌は表皮で覆われていますが、表皮の一番外側に角質層があります。「バリア機能」は角質層が持っている役割で、肌内部から水分が蒸発することを防いでくれています。バリア機能が正常に働くことで、肌はみずみずしくうるおい、はりや弾力のある状態が保たれるのです。さらに角層には、紫外線や細菌などの外的刺激からも肌を守ってくれる頼もしい働きもあります。
何らかの原因でバリア機能が低下した肌は、水分を保つ力が弱くなっているため、肌あれを起こしやすくなります。つまり、乾燥肌をケアするには「バリア機能を低下させないこと」が大切なのです。
いったい何が肌のバリア機能を低下させるのでしょうか。ここでは、その原因をご紹介します。
肌は細胞分裂を繰り返し、古い細胞が徐々に肌の表面に押し上げられて、やがて剥がれ落ちます。この肌の生まれ変わりをターンオーバーと呼びます。ターンオーバーの周期は正常な肌で28日と言われていますが、ストレス・睡眠不足・バランスの悪い食事など生活習慣の乱れによって、ターンオーバーの周期も乱れてしまいます。すると新しい細胞がつくられず、古い角層が溜まって肌が乾燥したり、透明感を失ったり、ニキビができやすくなったりする原因になるのです。
エアコンは空気中の水分を吸収します。特に夏や冬のエアコン利用時は空気が乾燥するため、湿度が50%を切って肌はダメージを受けやすい状態となります。乾燥した空気にさらされた肌はバリア機能が低下しやすいため、肌内部の水分が奪われてカサつきます。
紫外線は、角層にダメージを与えバリア機能を低下させます。長時間過剰に紫外線を浴びるとメラニンが過剰に生成され、シミやソバカスなどの色素沈着を引き起こします。こうした皮膚細胞へのダメージが、肌を乾燥させる原因の一つです。
クレンジングや洗顔の際に肌をゴシゴシ強くこすると角層が傷つくため、バリア機能が低下して水分が逃げやすくなります。また高温のお湯ですすぐと、角質細胞内にある肌のうるおいを保つ天然保湿因子(NMF)や必要な皮脂を洗い流してしまい、保湿力が低下するため、乾燥肌の原因になってしまいます。
加齢とともに肌のバリア機能は低下します。肌のうるおいを保つ天然保湿因子(NMF)や皮脂が減少することで、乾燥しやすくなり、外部刺激も受けやすくなります。
乾燥肌をケアするには、スキンケア方法とスキンケア化粧品の両方に配慮する必要があります。肌に強い力が加わると、肌が傷つきバリア機能が低下するので、やさしく丁寧にスキンケアを行うことが欠かせません。同時に、保湿や紫外線対策を重視したスキンケア化粧品を利用するとよいでしょう。ここでは、バリア機能を低下させないスキンケアのポイントをご紹介します。
洗顔料や石鹸をしっかりと泡立て、肌をゴシゴシこするのではなく、泡で顔をそっと包んでやさしく転がすように洗いましょう。その後、すすぎはぬるま湯がおすすめです。水分を拭きとるときもタオルでこするのではなく、顔をそっと包み込んで水分をタオルに染み込ませるように拭きとります。ゴシゴシこすったり熱いお湯ですすいだりすると、皮脂という人間が備え持つ天然の保湿成分が必要以上に洗い流されて、肌を乾燥させてしまうからです。また、手早く行うことも乾燥を防ぐポイントです。
洗顔後は、できるだけ早く保湿しましょう。化粧水をたっぷりとコットンや手のひらにとり、肌に馴染ませます。馴染みにくさを感じた場合は、化粧水の浸透をサポートする導入化粧品(ブースター)や保湿美容液をケアに追加することも方法の一つです。最後に、水分の蒸発を防ぐ乳液やクリームでうるおいを閉じ込めましょう。「セラミド」「ヒアルロン酸」「グリセリン」といった保湿成分が高配合されている化粧品もありますので、肌の乾燥具合に合わせて選ぶことをおすすめします。なお、乾燥が進んだ肌や敏感肌であれば、低刺激の化粧品を検討したり、皮膚科の受診を検討すると良いでしょう。
紫外線を浴び続けると肌のバリア機能が低下します。室内にいても紫外線を浴びますので、外出前に日焼け止めを塗るのではなく、朝のケアの一環として日焼け止めを塗ることをおすすめします。化粧下地やファンデーションも紫外線をカットするものを選ぶと安心です。また、日傘や帽子の併用も効果的です。
乾燥肌に効果的なアイテムは、高保湿成分が配合されたものです。ただし、高保湿成分が含まれた化粧水だけを使用して乾燥対策とするのは十分とは言えません。肌に与えた水分は体温や気温によってすぐに蒸発してしまうからです。「保湿」は水分を与えることではなく、肌の内部に十分な水分が保たれた状態のことを指すため、高保湿成分を含んだ乳液や美容液をセットで利用することをおすすめします。
セラミドは、肌のバリア機能を高める成分です。皮膚の角質細胞と角質細胞をつなぎ合わせる役割を持ち、肌の水分が逃げるのを防いでうるおいを閉じ込めるとともに、外部刺激から肌を守ってくれます。セラミドが減少すると肌内部の水分が蒸発する可能性があるため、化粧品で補給しましょう。
ヒアルロン酸は、細胞に水分を与える役割があります。1gで6リットルもの水分を保持すると言われるほどの保水力がありますが、加齢とともに減少し、40歳を過ぎると赤ちゃんのときの約半分になると言われています。ヒアルロン酸を含む美容液で補填することで肌に弾力やはりを与えることができるため、シワ・シミ・たるみのケアにも期待できます。
真皮の90%を占める繊維状のタンパク質のことです。皮膚をつくり、水分を蓄える力を持ち、肌のはりを保ってくれますが、ヒアルロン酸同様に加齢とともに減少します。若々しい肌印象のためにはコラーゲンの産生に着目した化粧品を使用するのがおすすめです。
コラーゲンにからみつくように結びついて肌に弾力を与えているタンパク質です。エラスチンが切れると肌は弾力やはりを失います。エラスチンも加齢とともに減少しますので年齢に応じたお手入れを行うことがおすすめです。
皮膚成分のひとつで、古くから用いられてきた保湿成分です。今でも多くのスキンケア商品に使用されています。無色無臭の吸いつくような粘り気が特徴で、肌の上に薄い皮膜をつくってしっとりとしたうるおいを与え、乾燥から守ってくれます。
スクワランは、皮脂膜をつくるのに必要な成分で、紫外線や雑菌などの外部刺激から肌を守る役割や水分の蒸発を抑制する働きを持ちます。スクワランの中でも化学物質が使われていない天然系のものもあります。
NMF(天然保湿因子)は、肌がもともと持っているうるおい成分です。アミノ酸を中心に構成された成分で、角層の中で水分をつかまえて離さず、うるおいを保ってくれます。
乾燥肌は、角層が持つバリア機能の低下で起きます。その原因は、ストレスや生活習慣の乱れからくるターンオーバーの乱れ、エアコンの長時間利用による空気の乾燥、紫外線によるダメージ、間違ったスキンケアなど、ごく普通の生活に溶け込んでいます。そのため、知らず知らずのうちに肌にダメージを与えてしまっていることもあるでしょう。しかしこれらの原因は「睡眠不足をケアする」「肌を傷つけないようなスキンケアを心掛ける」「紫外線をカットする日焼け止めを塗る」といった、ほんの少しの注意と予防で回避できるものです。生活習慣の見直し、バリア機能を維持するスキンケア、高保湿成分を含む化粧品の利用で、乾燥肌の確実なお手入れを目指していきましょう。